2021年に「新・たのしく書く道具」として発売したカキモリのつけペン。発売してからは、日本国内だけでなく、世界中のたくさんの方にお届けしてきました。 はじまりは小さなお店から、そして新たにものづくりにも携わるようになり、「愛着の湧く道具ってなんだろう?」と日々模索し続ける日々。そして同時に、これまで作った道具をよりよくしていきたいという思いをずっと持ち続けてきた4年間でもありました。

そんな中で新たに取り組んだのが、ペン軸につけるソケットの開発です。
ソケットはペン先を差し込み、書いている間ペン先を固定する大切なパーツ。ペン軸の要と言える部分です。これまで既製パーツを使用してきましたが、長く使える道具として、デザイン性も、耐久性やペン先の保持力などの機能性も、もっと良くしたいと考えてきました。

そんな折に、ものづくりをする方々からのご紹介で佐久間特殊鋼さんと出会い、カーボンファイバーを使った新しい素材 ReMax Composite® を知ることになります。その素材とは、新素材の企画・開発から設計まで行う佐久間特殊鋼さんが、カーボンファイバーの資源循環を目指し開発した素材をベースに、成形加工の高い技術を持つ古田化成さんと協力して生まれた特殊樹脂部品です。

@佐久間特殊鋼
佐久間特殊鋼は1973年創業。主に自動車部品やグランドピアノのチューニングピンなどを世界規模で企画・開発・販売をしており、リサイクル素材や資源循環や地域の産業復興などの社会課題解決にも注力している会社です。

古田化成も同じく1973年創業。長く樹脂加工の下請けメーカーとして精度の高いものづくりを行なってきました。その技術を生かして電柱や自動車の部品、刃物の持ち手、ねじなどを製造するほか、自分たちで開発した素材を使ったテーブルウェアの自社ブランドも立ち上げ、新たな挑戦を続けています。

この ReMax Composite® という素材は、リサイクルしたカーボンファイバーと樹脂を混ぜ合わせて生まれた素材です。元々は機械などのボルトやねじなどのパーツを想定して作った素材でしたが、カキモリではその錆びづらさや耐久性はつけペンのソケットにぴったりなのではと、開発が始まりました。
初めて一から作るソケット。カキモリの開発チームと佐久間特殊鋼の担当の方とで、形状から考えていきます。カキモリのペン先だけでなく、他のブランドのものも含めてなるべくたくさんのペン先が使えるものであることや、ホールド力などを考えた形に。樹脂は冷えると縮むため、それも計算した精密な型を作っていただきました。

その型を使い、熟練の技術で成形と加工をしてくださったのが古田化成のみなさま。こうして生まれた新しいソケットは、従来のものよりもさらに耐久性やペン先の保持力が向上。さらにカキモリらしい墨色は、どの素材にも相性が良い色合いに。この小さなパーツによって、つけペン軸がさらに長く使えるものになりました。

樹脂と聞くと、環境問題などからあまり好まれない素材になっている現代。そんな中で樹脂製品を日々製造している古田さんは「樹脂は生き物のようだ」と話します。温度や湿度によって左右されることから、樹脂製品の成形には人の手が必要で、それはまるで工芸品とも似た技術や繊細さが必要なのだそう。
使い捨てではなく、長く使える樹脂素材。そして工業製品と思われるものづくりに人の手がしっかりと入っていること。日本のものづくりの奥深さに気づいた経験となりました。
佐久間特殊鋼さん、古田化成さんとともに作った小さなソケット。このソケットを使ったペン軸で、さらなる書く楽しさをたくさんの方に届けていきたいと思います。
