百年先の誰かもきっと、「インクびん」の愛おしさにほほえむ第二回



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これまで、紙製品をメインに
町工場とのモノづくりに取り組んできたカキモリ。

今回のインクボトルづくりは、
かつてない数を製造することもあり、
大きなチャレンジでした。

大規模な製壜メーカーは、
日本国内に数えるほどしかありません。

カキモリの新たなチャレンジを支えてくれたのは、
兵庫県西宮市の山村製壜所です。




山村製壜所は、大正3年創業の『日本山村硝子』の100%子会社として1983年に設立。

従業員数70名の町工場です。

阪神間は、古くから日本酒に関わる企業が集まっている場所。

山村製壜所でも酒びんをメインに、
化粧品用など様々なびんをつくっています。

なんと、カキモリの旧型のボトル(一般流通品)も、
実は山村さんでつくられたものでした。





特殊な形状を得意とする山村製壜所だからこそ実現できた、
カキモリのインクボトル。

5万個のボトルが、1日間で一気につくられることに決まり、
家具デザイナーの小泉さんとともに、製造現場を見学させていただきました。





24時間火が焚かれ、1,400から1,500度にもなる炉の温度。

次々と切断され、型に落ちていく熱々のガラス。

橙色に染められたカキモリの「大福」が、
ポトンとレーンに落ちては流れていく。

何百という「大福」たちがくるくると踊るように列をなし、
目の前に現れ続ける。

工場に充満する「物が生まれるエネルギー」を全身で感じながら、
わたしたちはその場から動けなくなりました。







心から使いたい道具が
生まれる瞬間に立ち会っている。

言葉を交わさなくても、立ち尽くす
わたしたちの心が動いていることは明らかでした。


何よりうれしかったのは、山村製壜所の社員の方まで
出来上がりをよろこんでくださったこと。

「大福」を手にとる誇らしげな表情に、
わたしたちもまた、心を動かされたのです。





ぽたりと垂らしたガラスの液体が、
雫のまま自然と固まったようなカキモリのインクボトル。
20mmの口径は8°に傾けられ、
繊細なペン先も入れやすく工夫されています。

コンバーターでも直接吸い切れて、
万年筆も使いやすくなりました。

使うときもそうでないときも、
愛着を感じられるインクボトルです。





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