作り手から、書き人たちへ。ものづくりをする作家さんたちが生み出す、「書く」にまつわる道具たち。今回は、作家・ひがしちかとカキモリが一緒につくったアイテムをお届けします。
独学で傘作りを学び、直接絵を描いた1点ものの傘を展開する Coci la elle (コシラエル)を2010年から主宰していたひがしちかさん。惜しまれながらも2022年に幕を閉じ、新たな活動の一貫として「紙ものを作りたい」とカキモリにお声掛けをしてくださったのが、ちょうど1年ほど前。これまでもひがしさんの作品をノートの表紙でコラボレーションをしたことがありましたが、今回は新たに「一緒に」ものづくりをするというお話をいただいたのでした。
せっかくなので、新しい絵柄を制作していただけないかとご依頼したところ、快諾してくださったひがしさん。打ち合わせでは、私たちの雰囲気そのまま絵柄のインスピレーションにしたいと、好きな映画のことや最近気になっていることなどをざっくばらんにお話ししました。本当に作品づくりが好きなことが伝わってきた、とても良い時間でした。
しばらくしてひがしさんから届いたのは、サイズも雰囲気も異なるたくさんの絵のカケラたち。
「全部が素材だと思って、好きに組み合わせて作ってください」となかなか作家さんでは珍しいことを言ってくださり、バトンを受け取ったカキモリ。ここから実際にモノとして仕上げていきます。たくさんのカケラをどのように絵柄にするかを考え、紙との相性や印刷の濃さなどを工夫し、職人さんとの調整も何度も行いました。
こうして、レターセット、一筆箋、小さなレターセットにオーダーノートの表紙。たくさんのひがしさんとのコラボアイテムができました。絵柄を全面に印刷してひがしさんの作品を楽しめるようにしたり、封筒に窓をつけて額のように絵柄を見せるデザインにしたり。どれもアート作品を日常に感じ、気軽に贈ることができるアイテムに仕上がりました。
今回描き下ろしていただいた作品について、ひがしさんからのコメントをそのまま掲載します。いずれも最近ハマっているという茶道がインスピレーションの源にあるのだそう。
「relation」
人、物、言葉、空間を抽象化したイメージです。
隣にいる人や、日々の扱う物や、発する言葉で空気が変わります。隣にあるその人と人の間にある何か。というところを描きたく思いました。
「一期一会」
みなさんご存知の禅語の一つですが、海外でも同じような諺が各地にあります。
日本のモチーフの面白さと、豊かさ、それら持つ縁起の良さ。幸せとは、身近にあるものだなと最近思います。
「Lumière」
フランス語で光。光と陰は、様々な要素があり、心を打つものがあります。
谷崎潤一郎の陰翳礼讃がインスピレーションとなりました。
作品から感じられるおおらかさは、ひがしさんのお人柄そのものなのだと感じながらつくったコレクション。これから世界各国のみなさまにお届けしていきます。